ノニト・ドネアvsライアン・バーネットの試合を観た。
超一流の元世界王者も含め、多くの人が、ドネアにとっては幸運な勝利、バーネットにとっては不運な敗北、と感じているようだ。
僕の印象は全く異なる。
あの試合はドネアの圧勝だったと僕は思う。
2ラウンドと3ラウンド、バーネットのタイミングのいい右でバランスを崩したが、その後の動きを見る限り、ドネアにダメージはなかった。
逆に、ドネアのボディブローは、一発一発、しっかりとダメージを与えていたように見えた。
バーネットは頭を素早く動かしてパンチを上手くかわしていたが、頭を動かしている時もボディは動かない。
動かないボディに対して、ドネアは力強い左右のパンチを何発も当てていた。
ボディで削り、少しずつ上へのパンチも当たり始めた、その矢先のストップだった。
何度見直しても、ドネアの圧勝にしか見えない。
「あのまま続けていれば」というのは無意味な推測だが、中盤くらいにはドネアが鮮烈に倒していたのではないか、と僕は思う。
となると、ドネアにとっては鮮烈KOの機会を逃した不運な勝利、バーネットにとってはさほど評価を落とさない幸運な敗北、という事になる。
そもそも、棄権の原因となった腰痛？も、ドネアのボディブローが引き起こしたのかも知れない。

ツイッターで見つけた公式ジャッジは以下の通り。
・1R：バーネット×3者
・2R：バーネット×3者
・3R：バーネット×2者、ドネア×1者
・4R：ドネア×3者（10-8）

この採点は、ドネアに厳しすぎると思う。
少なくとも1Rは、明確にドネアのラウンドではないだろうか。
負傷まではバーネットペースだった、という意見が多いようだが、負傷までもポイントは競っていたし、ペースは完全にドネアのものだったのだ。
ドネアに厳しい意見が多く、バーネットに同情的な意見が多いのは、多くの人が全盛期のドネアを期待していたからに違いない。
ジャッジでさえ、全盛期ドネアと比較して、厳しい採点をしたのではないだろうか。

確かに、ドネアの全盛期、モンティエルやシドレンコをなぎ倒していた頃と、バーネット戦は比べるべくもない。
しかし、ドネアの対戦相手は全盛期のドネアではなく、バーネットなのだ。
僕も試合を観ていて、全盛期より全然遅い・・・、全盛期ならあんなパンチもらわなかったのに・・・、などと感じた。
でも、全盛期ドネアの姿は置いといて、もう一度、何の先入観もなく、純粋にドネアvsバーネットの試合を観てほしい。
全盛期の姿を忘れて試合を観れば、ドネアの圧勝だ、と思う人が増えるのではないだろうか。

ドネアはバーネット用の戦い方をしたのだと思う。
次のゾラニ・テテとの試合ではまた違った戦い方をして、恐らく勝つだろう。
決勝で当たるであろう井上尚弥選手との試合が楽しみだ、と思えるような勝ち方を望みたい。

またしても随分更新間隔が開いてしまった。
かなりバタバタした毎日が続いているが、地上波で放送されるボクシングは何とか観戦している。
先日の井岡一翔選手とレベコ選手のタイトルマッチも見ることができた。
悪い試合ではなかった、と思う。
判定は２－０で僅差だったが、井岡選手の明白な勝利だったと僕は思う。
井岡家にとっては悲願の三階級制覇だが、僕は何となく白けた気分で喜ぶ勝者陣営を見ていた。

本当にその階級で最強を証明した訳ではないのにチャンピオンを名乗る白々しさのせいももちろんあるのだが・・・。

三浦隆司選手・山中慎介選手や内山貴志選手、それに何と言っても、井上尚弥選手の試合を見てしまった今となっては、井岡一翔選手のあの試合では熱くなれなくなってしまったのだろう。
決して悪い試合ではなかったと思うのだけど・・・。



もう間もなく、待ちに待ったフロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ戦が行われる。
予想するとしたら、やっぱりメイウェザー勝利になってしまうのだが、もしかしたら？という期待も大きい。
パッキャオの右フックがメイウェザーを捉えて、KO勝利もあり得るのではないか？
尊敬する西岡利晃さんがパッキャオのKO勝ちを予想しているのも心強い。
不利の予想を何度も覆してきたパッキャオだけに、今回の試合も期待したい。

アメリカではこの試合をテレビで見るために1万円も必要なのだとか。
1万円払ってでも絶対に見ると思うけど、WOWOWで見られるのは本当にありがたいな。
試合当日まで、仕事やGWのイベントなどまだまだ色々あるけど、心の中はこの試合のことで一杯だ。
こんなに楽しみにさせてくれるなんて、この二人や関係者たちに心から感謝したい。

僕の予想はメイウェザーだが、当日は全力でマニー・パッキャオを応援したい。
僕の試合予想はほとんど当たった試しがないんだ・・・。

昨日は贅沢な一日だった。

ドネアｖｓダルチニアンについては、ドネアが予想以上に苦戦したなあ、という印象。
放送席の採点ではドネアがリードしているように伝えていたけど、判定になったら危ないんじゃないの？と思っていた。
これまでの試合に比べて手数があまりにも少なかったし、ダルチニアンのパンチも結構もらってるように見えたから。
それでも左フックで倒し切ったのは流石。
最後の詰めは物凄い迫力だった。
ドネアは敢えてあまり足を使わず手数を抑えた戦い方を選択したのかも知れないけど、前回対戦した時より両者の差は縮まっているように感じた。

山中選手も流石だったなあ。
挑戦者のゲバラも足の速いやりにくそうな選手だった。
でも危なげはなかったな。
いずれ捕まえるだろうと安心して見ていられた。
ゲバラが靴擦れのせいで負けたようなことを言ってたようだけど、それはいただけないなあ。
ベストな状態でも、多少は長引いたかも知れないけど、結果は変わらなかったと思う。
最初のダウンはパンチが当たってなさそうだったから、余程痛かったのかも知れないけど。
アメリカででも日本ででも、更なるビッグネームとの戦う山中選手を見てみたい。

アンダーカードの粟生選手とリナレス選手、二人ともいい勝ち方だったと思う。
リナレス選手の相手は強そうに見えたんだけど、素晴らしいカウンターだったな。
今後が楽しみだ。

そしてもう１試合、ローマン・ゴンサレスは別格だった。
前回八重樫選手と判定まで戦ったブランケットは、パワーはありそうだからもう少し長引くかと思ったんだけど。
何でもないように接近して何でもないように強打を打ち込み、そして倒す。
まさに怪物だ。
今彼と戦える日本人は残念ながらいないだろう。

早くその階級で一番強い人間だけがチャンピオンと名乗れる、まともなボクシング界に戻って欲しいものだ。