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ボクサーのウェイトトレーニングについて
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ボクサーがウェイトトレーニングをすることは、昔に比べてずいぶん一般的になってきたと思う。

昔は、ボクサーのウェイトトレーニングは敬遠されていた。

ウェイトトレーニングをするとスピードが落ちる、という説まであった。

実際は、スピードの元になるのも筋肉なのだから、筋肉を鍛えたせいでボクサーのスピードが落ちることはない。

ただ、やり方によっては悪影響もあるようで、その辺りは今発売中のボクシングビート誌の野木丈司トレーナーの記事に詳しい。

では、すべてのボクサーはウェイトトレーニングを行うべきなのか?

僕の考えでは、ほとんどのボクサーにとって、ウェイトトレーニングを行う必要はない、と思っている。

ウェイトトレーニングを行うべきなのは、極端に線の細い非力なボクサー(打ち方が悪いせいではなく、明らかに筋力がないせいでパンチがないボクサー。ボクシングの練習を続ければ必要な筋力はつくはずだと思うけど、ウェイトトレーニングをした方がより早く欠点を克服できるだろう。)か、階級を上げようとするボクサーだけだと僕は思う。

それ以外のボクサーには、ウェイトトレーニングは必要ない、と思う。

ボクシングに必要な筋肉は、ボクシングの練習で付く、と考えているからだ。

古い考え方なのかも知れないが・・・。

大抵のボクサーの練習時間は限られている。

限られた練習時間を、ボクシングの技術を磨くことではなく、筋肉を鍛えることに割くのはもったいないと僕は思う。

それに、ボクシングは階級制のスポーツだ。

ウェイトトレーニングをすればその分筋肉は重くなり、減量は苦しくなる。

だから、階級を上げようとする場合以外はウェイトトレーニングはしなくてよい、と思うのだ。

ウェイトトレーニングをするなら、どこの筋肉をどう鍛えるか、専門家(ボディビルの専門家ではなく、どの動きにどの筋肉が使われるかを見抜け、どうトレーニングしたらよりよく動けるようになるかを知っている専門家)のアドバイスを受けるべきだと思う。


僕の現役時代、あるトレーナー(僕のトレーナーではなかった)から、

「お前はストレートパンチャーだから、上腕三頭筋(腕を伸ばす時に使う筋肉)を鍛えろ」

と言われ、いくつか上腕三頭筋をピンポイントで鍛えるトレーニング方法を教わったことがある。

僕は真面目な顔をして聞いていたが、心の中ではせせら笑っていた。

ストレートパンチを腕の曲げ伸ばしだと思っているような人が、トレーナーとしてお金を取ってボクシングを教えてるなんて。

自分のトレーナーとも相談した上で、教わったウェイトトレーニングは一切やらないこと、上腕三頭筋のトレーニングを教えてくれたトレーナーの指示は聞き流すことを決めた。

もしウェイトトレーニングで鍛えるなら、それは上腕三頭筋のような末端の筋肉ではなく、より動作の中心に近い筋肉だろう。

ボクシングのパンチを野球のバッティングに例えるなら、上腕三頭筋で打つパンチはバットの末端を持って(バットを短く持って)振るような動作で、全く力を効率的に使えないものだ。

逆に、動作の中心に近い筋肉を連動させて打つパンチは、バットの先端を持って(バットを長く持って)振る動作に似て、中心のわずかな動きで末端を大きく、強い力で動かすことができる。

その「動作の中心に近い筋肉」というのがどこなのか、背筋なのか腹筋なのか、あるいはそれより深い名前も知らないようなインナーマッスルなのか、それらの筋肉全てなのか、僕にはわからない。

いずれにせよ、上腕三頭筋だけをピンポイントで鍛えることはボクサーにとってほとんど意味はないことは知っている。


現役のボクサーたちには、効率的に、強くなるために必要な練習だけに集中して欲しいな。
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筋トレは必要と思う。
見事な文章力で、内容とも素晴らしいです。
ブログ拝見して驚きました。

ウエイトトレーニングについて、意見させてください。ボクシング界のウエイト嫌いはよく耳にします。ロッキーのドラコ?の影響でしょうか。
時間が掛かるということなのでしょうか?
一体何故という感じます。

ボクサーでも超一流アマ選手の中には、意外にも現役をやめると体重が少なくなってしまう選手がいます。特に筋肉が付きやすい選手がそうなるようです。
一流選手となる条件のひとつと考えられますが、多くの選手は筋トレなしでは身体が出来ないように思います。それを補うのが筋トレです。筋肉が付きにくいパワー不足の選手や部分的強くしたい箇所がある場合に有効と考えられます(例:トミー・ハンーズ)。関東リーグ戦で活躍中の農大のバンタム級の選手もパワーが付けば五輪で活躍できそうな選手です。特別な筋トレはしていないと聞いています。
 水泳選手の例は、既に必要なパワーがあって、自分の身体を使って筋肉に負荷を掛けられるコツをつかんでいるからでしょう。

瞬発力勝負の野球選手も筋力トレをしています。効果的な方法なのでしょう。
少なくとも野球以上に研究出来ていないはずです。
ボクシング界でも、
①具志堅さんが筋トレによってパンチが付いたことを金平会長がコメントしています。
②伝説の三浦選手の母校である岩泉高校は、サンドバック+腕立て伏せの猛練習を行っていたと聞いています。
③金メダル村田選手の母校である南京都高校は、鉄アレイの巻き上げトレーニングでパンチの基礎となる手首・上腕を鍛えています(5kgでも相当きつい)。

 井岡伯父が現役であったころのベンチプレスは、瞬発力重視なら限界値の80%負荷で10回、スピード重視なら30%で、80%の3倍量を行う。これを3セット隔日で行うのがセオリーとされていました。
当時のボクシング界には、試合直前の炭水化を摂取の効用(始めて口にしたのはジョー小泉さん)と同じように、筋トレ方法が伝わっていなかったように記憶しています。
oldboxer 2012/08/16(Thu)12:35:06 編集
コメントありがとうございます。
oldboxer様、はじめまして。
ブログをお褒めいただいてありがとうございます。

ボクシングを始めたばかりの頃からしばらくは筋トレをした方がよいのかも知れません。
私も、アマチュアボクシングを始めた頃には腕立て伏せや軽い鉄アレイを持ってのシャドーボクシングなどを行っていました。
当初は重くて仕方がなかったグローブの重さをいつの間にか感じなくなったのは、腕立てや鉄アレイによって筋肉が鍛えられたおかげかも知れません。
ただ、やはり限られた練習時間を有効に使うためには、ウェイトトレーニングよりボクシングの練習をすべきではないかと考えています。
筋肉を鍛えるにしても、ボクシングの動作の中で鍛えられるような方法(サンドバッグや負荷をかけてのシャドー等)を行う方がよいのではないかと。

ボクシングでは、ウェイトトレーニングの研究は、他のスポーツに比べても遅れている方だと思います。
ボクシングを長く続けている選手でも、ウェイトトレーニングをすればもっと強くなる可能性のあるボクサーはいるでしょうが、現時点では、ボクサーにとって本当に「正しい」ウェイトトレーニングを処方できるトレーナーは非常に少ないのではないかと個人的には思っています。
BJ2号 URL 2012/08/17(Fri)20:33:45 編集
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