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4/30の長谷川穂積選手とフェルナンド・モンティエル選手の試合については、試合直後に感想を書いたのだが、その後の長谷川選手のインタビューなどを見て気になる点があったのでもう少しだけ書いておきたい。

気になる点、というのは、長谷川選手が、試合を決定付けるモンティエルの左フックについて、「残り10秒の拍子木を聞いて、無意識に油断してしまったのかなあ」というような発言をしていることだ。

僕が見た範囲では、ネット上でも、長谷川選手は油断さえしなければ勝てる、もう一度頑張って欲しい、という意見が多かった。

もう一度頑張って欲しいのは僕も同じだが、敗因をちゃんと認めなければ、再戦しても同じ結果になる可能性が高いだろう。

僕の考えでは、あのパンチは決して「油断」が原因でもらってしまった訳ではない。

長谷川穂積選手の敗因は、モンティエルの周到な戦略にまんまとはまってしまっただけのことだ。

4ラウンド残り10秒まで、モンティエルが繰り出す右パンチはやや大振りのものばかりで、返しの左フックのタイミングも遅かった。

ところが、4ラウンド残り10秒を切ってから、あの試合で初めてのコンパクトな右(これは最初から返しの左フックを狙ったフェイント気味のパンチだ)から左フックを打ってきた。

長谷川選手の頭と体には、それまでのモンティエルの大きな右のイメージが染み付いていたと思う。

だから、「この右をかわして左ストレートを出せば、返しの左フックに対するカウンターになる」と無意識に反応してしまったのだ。

油断なんかしていたら、最初の右ストレートをもらっていたはずで、とてもカウンターを取ることなんてできなかったはずだと思う。

3ラウンド目まで長谷川選手がポイントではリードしていた、だから再戦したら、油断さえしなかったら勝てる、と考えるのは甘すぎるのではないだろうか。

もし「油断さえしなかったら勝てる」と長谷川選手本人が考えているとしたら、それはまだ決まってさえいない再戦で、既に油断しているのだ。
モンティエルを舐めている、という意味で。

モンティエルとしては、3ラウンド目までポイントではリードされていたが、相手がスピードやテクニックで上回っていてポイントでリードされた場合にどうするか、という引き出しはきっといくつも隠し持っていたはずだ。

3ラウンド目終了時にモンティエル陣営のセコンドの様子のレポートで「12ラウンドやるつもりで戦うことを確認した」という言葉があった。

これは、今のところ流れは長谷川に傾きつつある、でもお前にはまだ隠している引き出しがいくつもある、武器を隠しているのだから流れが長谷川選手に傾くのは当然だ、これから引き出しを少しずつ開けて流れを取り戻そう、という意味だったのではないだろうか。

結果的に、モンティエルが最初の引き出しを開けた時点で試合は終わってしまったが。

あの左フックをもらってしまったのは、普段なら150キロのボールを打てるのに、遅い球に目を慣らされたせいで140キロくらいのボールで三振させられたバッターと同じようなものだろう。
それは決して油断のせいではない。


長谷川選手は超一流のボクサーだと思っている。

以前に、長谷川選手と浜田剛史さん・畑山隆則さんとの対談をテレビで見たが、相手が息を吸った瞬間にパンチを打つ、フェイントを駆使して相手に思い通りのパンチを出させてカウンターを取る、など、元世界王者でさえ驚くようなテクニックを持っていると語っていた。

そういう優れた「戦術」を身につけることで長谷川選手は超一流のボクサーに上り詰めたのだが、「戦略」の面ではどうなのだろうか。

今回の試合、モンティエルの方が「戦略」で長谷川選手を完全に上回ったと思う。

3ラウンドまでを捨てることになったとしても、右を捨てての速い左フックを隠し続けたモンティエルと、「1ラウンド目は何としてでも取るぞ」と言っていた長谷川陣営。

この戦略の差は大きいと思う。

1ラウンド目を「何としても」取りに行こうとした理由は、一旦ペースを握られたら簡単には奪い返せないから、という理由だと思うが、4回戦じゃないんだから・・・。

戦術では長谷川選手がモンティエルをやや上回ったと僕は思うが、戦略では、モンティエル陣営の方が圧倒的に上だった。

長谷川選手は、「駆け引きが楽しかった」と言っていたが、それは大人に遊んでもらった子供が感じるのと同じ種類の楽しさだろう。

戦術的な面では確かにギリギリの勝負だったと思うが、戦略的な面では、長谷川選手はずっとモンティエルの掌の上で戦っていたようなものだ。


僕は、長谷川選手がもう一度モンティエル選手と戦い、そして勝ってくれることを心から祈っているが、あのパンチをもらってしまった原因を「油断」としか認識できないようでは危険だと思う。

今回の敗因は戦略の差。

モンティエルには、対長谷川戦用に隠し持っている武器がまだいくつも残っている。

再戦ではそういう武器もきっと使ってくるだろう。

それを認識した上で、再戦に臨んでリベンジして欲しいと思う。
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一方的な試合になってしまった。

もっとメイウェザーがトラブルに陥る展開を期待していたんだけど、モズリーの見せ場は2ラウンドの右2発だけになってしまったなあ。

あの右はかなりダメージを与えたようで、メイウェザーも足にきていたようだけど、2ラウンド目終わりでコーナーに戻ってきたモズリーの表情に全然余裕がなかったのが不思議だった。

対するメイウェザーは、あれだけのダメージを受けながらも、一瞬たりとも自信と余裕を失うことなく、本当に憎たらしいほど強かった。

終わってみれば、速さやテクニックでもメイウェザーの方が上だったが、勝負を分けた一番大きなポイントは精神力だったかも知れない。

メイウェザーの、まるで「自分が勝つことはわかりきっている」とでも思えるような自信、言い換えれば自己評価の高さには恐れ入った。

モズリーは最初からナーバスになっているように見えた。

オスカー・デラ・ホーヤとの2戦など、メイウェザー戦と同等以上のビッグマッチで勝ってきたモズリーだけど、やっぱりメイウェザー戦は特別な緊張感があったのだろうか。

今日のメイウェザーを見ていると、どうやったら勝てるのか、僕には全然思い浮かばない。

例え相手がマニー・パッキャオだったとしても。

パッキャオのトレーナー、フレディ・ローチなら、パッキャオをメイウェザー相手に互角以上に戦えるようにできるのだろうか?

これまでにもいくつもの不可能を可能にしてきたパッキャオに期待せずにはいられないが、メイウェザーに一方的なやられてしまう恐れもある。

何にしても、フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオという、今のボクシング界で考えられる最高のカードの実現を祈りたい。
テレビ観戦だったので、長谷川穂積選手の衝撃的なKO負けの後に西岡利晃選手の試合を見たのだけど、ヒヤヒヤしたなあ。

これで西岡選手まで負けたらどうなるんだ、と。

バンゴヤン選手は思い切りパンチを振っていたし、右ストレートで一瞬西岡選手をぐらつかせることもあって、決して簡単な相手ではなかったと思う。

4ラウンド目までの僕の素人採点では40-35(4ラウンドはバンゴヤン選手のローブローによる減点あり)で西岡選手リード、公式ジャッジも40-35、39-36、38-37で西岡選手がリードしていたけど、ポイント差ほどは一方的な展開ではなかったと思う。

4ラウンド終了時の公開採点でリードされていることを知ってか、5ラウンド目にはバンゴヤン選手がそれまでより激しく出てきた。

それを冷静に捌いて、”モンスター・レフト”を一閃。

西岡利晃選手の右パンチは、ほとんど左を当てるためだけに使われているように思う。

対戦相手にとって警戒するべきなのは左ストレートだけだ、と言ったらいい過ぎだけど、左ストレートが最も警戒すべきパンチであることは間違いない。

もう10年以上、警戒されまくっている左ストレートでKOを量産する西岡選手、本当にすごいと思う。

試合後コーナーに駆け上がって、腕組みをして「ドヤ顔」をする西岡選手を初めて見たのは、確か1998年、大阪城ホールでの辰吉選手とウィラポン選手の前座試合、渡辺純一選手との日本タイトルマッチでのことだった。

当時から天才と言われていた西岡選手、かなり回り道をしてしまったけど、今やっと全盛期を迎えつつあるようだ。

これからは「世界のニシオカ」を目指したい、という西岡選手、これからも一撃必殺の”モンスター・レフト”で世界で活躍して欲しいな。
ショッキングな結末だった。

長谷川穂積選手のペースになりかけていた矢先のモンティエルの左フック。

これがボクシングなんだなあ・・・。


長谷川選手のコンディションは、本人の言葉通り、ベストに近かったのではないだろうか。

1ラウンド目からモンティエルのパンチがよく見えていたと思う。

2ラウンド目は、僕の素人採点ではモンティエルにポイントを与えたけど、3ラウンドは再び長谷川選手がペースを奪い返し、4ラウンドもやや優勢のまま終わるところだったのだが・・・。

長谷川選手はモンティエルのパンチをほぼ見切りつつあるように見えた。

4ラウンド目、残り10秒を切ってから、モンティエルがこの試合初めて出した右を捨ててからの左フック。

それまでの単発のいきなりの右、あるいはつなぎがテンポのあまり速くない右→左フックではなく、つなぎの速い、完全に右を捨てての左フックは、あの場面で初めて出たパンチだったと思う。

そこから更に右→左フック。

一瞬の内に放たれたモンティエルの右→左→右→左の4発のコンビネーション。

2発の左フックが決定打になった。

長谷川選手のパンチの回転の速さには定評があったが、モンティエルのこの4発のコンビネーションは本当に速かった。

その後の詰めの連打、ラウンドが終了間際だったこともあり、レフェリーはストップを迷っていたように見えた。

まったくディフェンスできない体勢だったから、もっと早くストップしてもいいくらいだったと思う。


今日の試合を見て、二つの試合を思い出した。

一つは、当時センセーションを巻き起こしていたナジーム・ハメドをマルコ・アントニオ・バレラが完封した試合。

モンティエルの左フックをスローのリプレイで見て、バレラがハメドを完封したサウスポー殺しの「右を捨てての左フック」を思い出した。

もう一つは、リカルド・ロペスが日本の大橋秀行氏を倒した試合。

序盤、ロペスはずっと左ジャブからの右ストレート(ワンツー)を、「ワン。ツー。」のテンポで打っていた。

しかし、5ラウンド目、この試合で初めて「ワッツー」というテンポのつなぎの速いワンツーを放ち、大橋氏からダウンを奪った。

今日のモンティエルも、KOラウンドまでつなぎの速い右→左フックを隠しておき、4ラウンド目残り10秒を切ってから初めて放ってKOにつなげたのを見て、あの時のリカルド・ロペスを思い出したのだった。

マルコ・アントニオ・バレラもリカルド・ロペスも、モンティエルと同じメキシカンなんだなあ・・・。



「いい試合だった」という言葉は、負けたボクサーにとって一番言われたくない言葉(少なくとも僕はそうだった)だけど、いい試合を見せてくれた長谷川選手に感謝したい。

緊迫した、本当にいい試合だった。

今後はモンティエルとの再戦を目指すのか、それとも階級を上げるのかわからないけど(テレビのインタビューではモンティエルにリベンジしたいと言っていたが)、まずはゆっくり休んで欲しいな。

そしてまたいつか、今日のような緊迫したハイレベルのボクシングを見せてくれることを願っている。
昨日WOWOWで放送された、ホルヘ・リナレス選手の再起戦を見た。

解説の浜田剛史さんが試合中に度々言っていたが、今回の試合はこれまでと違い、パンチを避けるのではなく、ガードしながら相手をしっかり見る、ということが課題だったようだ。

リナレス選手が圧倒的に優勢だったと僕は思ったのが、判定は2-0。

ドローと採点したジャッジには、ガードしながら相手を見る、という今回の課題を実践している時間帯が消極的に見えたのだろうか?

それでもリナレス選手はタイミングのいいカウンターを随所で決めていたし、時折回転の速いコンビネーションもまとめていたので、やっぱりリナレス選手の一方的な試合に見えたんだけどなあ。

リングがかなり滑りやすかったようで、それもリナレス選手が足を止めてガードを固める時間が長くなった原因の一つかも知れない。

何にせよ、元チャンピオンを相手に完勝したリナレス選手は流石だ。

近いうちにきっと世界チャンピオンに復帰するだろう。

しかし、リナレス選手が失ったWBC世界スーパーフェザー級のベルトを現在持っているのは、内山高志選手。

もしリナレス選手と内山選手が戦うことになったら、いい試合になるだろうから楽しみではあるのだが、複雑な気持ちだ。

内山高志選手も、長く防衛を重ねていけそうな一流のチャンピオンだと思うので、できればリナレス選手には階級を上げてもらって、二人とも世界チャンピオンでいて欲しいものだ。

世界チャンピオンとは、本来その階級で世界で一番強い一人の男だけに認められる座だということはわかっているのだけど・・・。

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プロフィール
HN:
BJ2号
性別:
男性
自己紹介:
元プロボクサー、現ボクシングファン。
最近はほとんどテレビ観戦(地上波とWOWOW)のみ。
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