度肝を抜かれるとはこういうことを言うんだろうな、と実感させられた試合だった。
本の数日前に、「（村田選手にとって）危険なマッチメーク」「意外とアウトボックスされてしまうんじゃないか」「凡戦の末の判定決着になる可能性もある」などと書いてしまった自分が恥ずかしい・・・。

村田選手は緊張のかけらもない様子でリングに上がったが、試合が始まると、さすがに動きが固いように僕には思えた。
何となくなめらかさに欠け、ギクシャクした動きに見えたんだ。

しかしあのパワーはすごいな。
アマチュア時代、大きなグローブで、短いラウンドで世界のトップを追いつめてきたのだから当然と言えば当然か。
グローブが小さくなったこと、ヘッドギアがなくなったことは村田選手にとってはプラスに作用したようだ。
びくともしないガードも含めて、フィジカルの強さは群を抜いていると思う。

一瞬とはいえ、ゴロフキンやメイウェザー、パッキャオ、アルバレスなどの映像が地上波で流れたのは感動的だった。
そう遠くないうちに彼らと戦えるレベルに達するんじゃないかと思えた。

年齢的にそんなにゆっくり育てる余裕はないのかも知れないが、それでもあまり焦らずに試合を組んで欲しいな。
昨日のデビュー戦ではプロとしての可能性を再確認できた。
今後に期待したい。

そして井上尚弥選手、おめでとうございます！
田口選手の頑張りもあって見応えのある試合になった。
ハートの強さも見えたし、10ラウンド戦ったことは今後の糧になると思う。
今すぐならまだ井岡選手の方が上だと思ったけど、時期が来たら井岡戦を見てみたいものだ。

お盆休みの真っ最中、山中選手と八重樫選手の防衛戦＆長谷川選手の世界前哨戦をテレビで見ることができた。
贅沢な放送だったと思う。

八重樫東選手は、序盤からスピードで挑戦者のブランケット選手を圧倒。
ブランケット選手は時折強打の片鱗は見せて怖さはあったものの、ちょっとガッカリな選手だった。
序盤から弱気が見えていたし。
KOして欲しかったが、フライ級としては八重樫選手はまだ少しパンチ力とタフネスに課題が残るような気がする。

山中慎介選手の左は凄みがあった。
最初にコーナーに詰めて３連打した辺りで、あ、これは早く終わるかも！と思ったが、あんなに早く一発で終わるとは。
最後の左は長いパンチだったな。
あの距離であの強さのパンチを下がる相手に対して打ち込めるとは驚いた。
続行して山中選手の詰めも見たかったとも思ったけれど、安全を考えると妥当なストップだったと思う。
身体のダメージもそうだが、心が折れてしまったボクサーを戦わせるのは危険極まりない。

テレビでは山中選手の試合の後に放送された長谷川穂積選手の世界前哨戦。
ここ数試合では一番動きがキレていたのではないか。
階級を上げてから、パンチや身体全体のスピードが落ちてきていて、年齢からくる衰えもあるのかなあ、と思っていたのだが、あの日の長谷川選手には全盛期に近いスピードが戻っていたように思う。
もう一度、長谷川穂積選手は夢を見させてくれそうな気がした。


今週末には、いよいよオリンピック金メダリスト・村田諒太選手のデビュー戦が行われる。
対戦相手に東洋王者の柴田選手を選ぶとは期待と自信の大きさが伺える。
村田選手のKO勝ちの予想が多いんだろうし、僕もそれを期待したいが、それにしても危険なマッチメークだと思うなあ・・・。
アマチュア時代とはスタイルをガラリと変えてくるんだろうが、もしアマチュア時代のようなスタイルで戦うのなら、意外とアウトボックスされてしまうんじゃないかという気もする。
凡戦の末の判定決着になる可能性もあるが、やっぱり村田選手の豪快なKO勝ちに期待したい。
同日の井上尚弥選手の日本タイトルマッチも含めて、とにかく楽しみで仕方がないんだ・・・。

リゴンドー選手は難敵だけど、ドネア選手が徐々に追いつめて、KOか明白な判定で勝つと予想していたのだけど。
予想以上にリゴンドー選手は速くて上手かった。
僅差をつけたジャッジもいるようだけど、リゴンドー選手の勝利は明白だろう。
正直言って驚いている。
あんなにもドネアに何もさせないなんて・・・。
ドネアも一度はダウンを奪ったのだから、「何もできなかった」訳ではないのだろうけど、ほとんど手応えのあるパンチは当てられなかったのではないか。
これまで多くの相手をスピードで圧倒してきたドネアが、スピードで圧倒されるとは。

リゴンドーを過小評価していたようだ。
プロでの強豪との対戦経験・キャリアではドネアの方がずっと上だったはずなんだけど。

オリンピック２連覇というのは伊達じゃないなあ。

再戦はあるんだろうか？
再戦してもドネア選手が勝つのは難しいと感じる試合だった。
そんな僕なんかの予想はひっくり返して、次はドネア選手にKOで勝って欲しいものだけど、それはあくまでもただの願望で、そんなシーンを想像することは今はできそうにない。

何というか・・・、すごいものを見てしまったな。
まだ興奮している。
応援していた選手が負けるのは本当に残念だが、それ以上に、本当にものすごいものを見てしまった、という興奮の方が今は強い。

明日、もう日付が変わったから今日か、ノニト・ドネアｖｓギジェルモ・リゴンドーの試合が実現する。
楽しみな試合だ。
リゴンドー選手の試合はそんなにたくさん見たことがあるわけではないが、速くて上手いのは間違いない。
ドネア選手がどうやって攻略するのか期待したい。

16日の井上尚弥選手のデビュー３戦目と、村田諒太選手のプロテストは、ゴールデンで生中継されるそうだ。
リアルタイムでは見られないだろうが、しっかり録画しておきたい。
井上選手の試合をちゃんと見られるのはこれが初めてなので、本当に楽しみだ。
日本ランキング１位の佐野選手を相手に選んだマッチメイクもいいと思う。
井上選手にとっても、佐野選手にとっても負けられない試合だけど、プレッシャーはより井上選手の方が強いと思う。
ゴールデンで生中継される最初の試合でこける訳にはいかないだろう。
そんな重圧の中で、どんな戦いをするのか楽しみにしている。

それと村田選手。
ついにプロとして本格始動か。
オリンピックの時のスタイルではプロの世界レベルでは通じない、という声があるようだ。
僕もそう思うけど、そんなことは本人が十分にわかった上でのプロ転向だろう。
どんなスタイルで戦うのか、よりプロ向きに変身した村田選手を見るのが楽しみだ。

今の日本ボクシング界には、山中選手、内山選手、八重樫選手など、強くて、初めてボクシングを見る人にとっても面白い試合をしてくれる世界王者がいる。
更に井上選手と村田選手。
できれば新しいボクシングファンがたくさん増えるといいな・・・。

熱い試合だった。
これがボクシング。
ダウンの後はすっかりマルコム・ツニャカオ選手に感情移入してしまったけど、チャンピオン・山中慎介選手は予想よりずっと強かった。
山中選手は強打が目につくけど、あんなにディフェンスがいい選手だったとは。
前からディフェンスもいいしテクニックもあるのは知っていたつもりだけど、あそこまでとは思っていなかった。

しかし３ラウンドで終わるかと思ったが、マルコム・ツニャカオ選手の頑張りで本当に素晴らしい試合になった。
彼の人生を思い切り表現できた試合だったと思う。
それを余裕を持って打ち砕いた山中選手。
凄いの一言だ。

ツニャカオ選手にとっては本当に残酷な結果になってしまったが、今夜は山中選手の方が強かった。

地上波では放送されなかったが、三浦選手、五十嵐選手、八重樫選手も素晴らしい試合をしてくれたようだ。
彼らの試合も近々何とかして見たいものだ。

願わくばもう一度、ツニャカオ選手に世界王者になって欲しかったし、今でもそう思っている。
でも、肩書きだけのチャンピオンなんて意味がない。
いや、肩書きだけでも世界タイトルを獲るかどうかでその後の人生も変わるんだろうし、興業的にも大きな意味があるんだろうけど。
本来その階級で最強でなければ世界チャンピオンを名乗る資格などないのだ。

世界王者は１階級に１人でいい。

井岡一翔選手、同じ階級にローマン・ゴンザレスがいるのに、世界チャンピオンを名乗ってタレント気取りでテレビなんかに出てる場合じゃないんじゃないか。
井岡選手に期待しているからこそ歯がゆい思いをしてしまうのだけど・・・。